ものづくりのこだわり

糀屋吉右衛門は江戸時代から続く180年の歴史ある老舗の糀屋
古くから受け継がれてきた製法を守りながらこうじや甘酒、味噌などを丹精込めてつくり続けています。

当店は、田園風景が広がる風光明媚な近江富士(三上山)の麓に江戸時代後期の天保年間から続く老舗の糀屋で、「三上の糀屋」として地元やその近隣のお客様から慕っていただき、糀や甘酒を中心に地元に密着した商売をさせて頂いております。

地産と伝統による糀づくりのこだわり

江戸時代から変わらない製法を守り続ける糀は白米を洗米し、釜で蒸して、菌をつけてねかせて作ります。生産は主に手作業で製造しており、天保11年製造と記され代々引き継がれた糀蓋(糀を作る木箱)を使って丹精込めて糀造りに勤しんでおります。また、原料のお米は自家水田と契約農家様にて丹精込めて栽培された地元産の近江米のみをつかっております。

糀菌は広がる時に熱を出すため、その熱を上げすぎないよう撹拌作業を行って、温度と湿度を調整しながら、48時間の作業を経て出来上がります。

糀造りは、精米した白米を蒸すところから始まります。15kg入る「せいろ」を4段重ねて、薪を使用する昔ながらの釜で一度に60kgを蒸し上げます。蒸しあがったお米を台に移し、糀菌が入りやすくするよう手作業で撹拌し放冷します。人肌に近い温度まで冷ました後、お米を丁寧にほぐし、種糀をふりかけ混ぜ合わせていきます。

その後発酵器に入れて20時間じっくり掛けて床発酵させます。2度の床もみを繰り返してから、木製の糀蓋に移し変えて盛りと呼ばれる作業に進みます。

盛り作業は温度が上がりすぎないよう糀蓋に糀を薄く広げ、さらに空気に触れる表面積をさらに増やすため、いくつもの細かい筋をつけていきます。そうして室発酵で丸一日かけて発酵させます。発酵には180年の長きにわたり受け継がれてきた伝統的な糀製造法と経験が活かされ、建物全体に住み着いた糀菌がほどよい発酵度合いを手伝ってくれます。

最後に一晩放冷してしっかり冷やせば完成となります。伝統的な製造方法である糀蓋で作られる糀は、発酵度合いが程よく、香り豊かで糖化力に優れたものとなっております。

昭和30年代から使っている釜。せいろを使っておよそ一時間で60kgのお米を蒸し上げます。

一つひとつの米粒に種こうじをこすりつけるのが種付けのコツ。米と糀菌をまんべんなく混ぜ合わせます。

糀蓋が何段も重ねられたこうじ室。ここで糀が美味しく熟成されていきます。

細い筋をつけて糀蓋に移し変えられた糀。すでに発酵が進んで白っぽくなっています。

糀室での糀蓋を用いた箱糀は、フワフワと花が咲くような糀に仕上がり、とても香りが高くなります。